122nd Episode 『希望の光【Silver lining】』the final

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何をどうしたって、運命ってのは

「さっ、淹れたてをどうぞ」

「うん、いい香りね、ねぇ、そろそろかな?」

「あら、そうですわね、丁度、飛び立った頃でしょうね、朝、空港から電話があった時は、元気そうでしたわね」

「とうとう行っちゃったか」

「Shintaroさんから電話ですわ、はい、そうですか、お疲れ様でしたね、そうそう、こちらへ寄って欲しいんですのよ、あら、そうなんですね、わかりました、じゃ、夜にね、はいはい」

「Shintaro君、こっち寄るって?」

「Nanaは無事出発したそうですわ、今から会社へ行って、また、夜にこちらへ寄って下さるわ」

「じゃ、私も仕事するか、んじゃ、行って来るわ」

「いってらっしゃいませ、あっ、夜、来てくださいね」

Miyuさんは、いつもの様にオープンカーで颯爽と去って行った

「Nanaちゃんは行ってしまったのう、東甘堂のお芋さん、また、買うて来ようと思っとったんじゃけの」

「ふふ、Konさん、お孫さんも、そろそろ食べられますよ」

「そうじゃの」

カフェのランチが慌ただしく過ぎ去り、午後のお茶の時間でRomiさんが帰って行く

Nanaが去った後を気遣い、皆がオーナーを支えている

会社帰りのお客様が押し寄せ、そろそろ閉店の時間が近づくと、自然と静かになるカフェの一日

ドアベルが鳴り、Miyuさんがご来店

「Shintaro君はまだ?」

「ええ、そろそろだと思いますけどね」

ドアベルが鳴り、看板を持ってShintaroさんが入って来た

「お疲れ様です、外のライト消しておきました」

「まぁ、すみません、ありがとうございます、看板はそこら辺に置いて下さいな」

「ホント、Shintaro君まで、Nanaのいないの気にしてくれてありがとうね」

「いえいえ、Miyuさんこそ」

「これ、Nanaから預かったんですのよ、お二人にって」

「まぁ、綺麗なグラスね、Nanaらしいわ」

「展示会で買ってきたんでしょう?Shintaroさん、ご存じでした?」

「いえ、いつの間に買ったんだろう?あぁ、ちょっと私が飲み物を買いに出た時に、何か買いたいものあるって」

「私にもこのグラスをね、それぞれに合った色を彼女が選んだんですわ、これで毎朝、一杯の炭酸水を飲んで下さいって言ってました」

「ふふ、じゃ、炭酸水始めようかな、オーナーも飲んでるんでしょう?」

ふと見ると、カウンターのカップボードに見慣れた青いグラスが置いてある

「これね、アメリカへ持って行って割れたら困るからここに置いて欲しいって言うものですから」

「そうなんですね、じゃ、オーナー、このグラスも預かって貰えませんか、私も転勤が決まったんです」

「え?そうなの?どこへ?いつ?どうして?」

「そんな矢継ぎ早に聞いたってねぇ、Shintaro君」

「まぁ、みんな遠くへ行ってしまうのですね」

Shintaroさんから受け取ったグラスを洗って、Nanaのグラスの隣に置いた

カフェの毎日はNanaがいない事意外は、変わらない日々を送っていた

「Nanaはどうしてるんでしょうね」

「うん、Shintaro君もあれからすぐに転勤になってイギリスへ行ってしまったし、淋しくなったわね」

「でも、Miyuさん、日本からはどちらも遠いですけどね、ロンドンとニューヨークは近いんですのよ、飛行機で7時間くらいですよ」

「そっか、そうなんだ」

「でも、NanaはShintaroさんが転勤になった事を知らないでしょうね、言ってないと思いますよ」

一年、二年と過ぎ三年が過ぎようとしていた

「うわぁ、遅れそう~折角、早めに出たのに飛行機が遅れるなんて」

ボストンの空港に着き、慌ててカートを引いて走る、っとスーツケースの上に積んだバッグが転がり落ちた

「え~~ちょっと、あっれ~とんでっちゃった」

バッグに付けた綺麗なガラス玉のキーホルダーが落ちた拍子に千切れて転がっている

「一つ、二つ、三つ、あ~あ、後、一個どこ行っちゃった?もぅ、どこ~?」

膝をついてロビーの座席の下を覗き込むが暗くて見えない

「探し物はこれ?かな?」

「え?」

差し出した手の平には、七色に光るガラス玉を包み込む様にシルバーの光が輝いていた

朝の澄んだ空気が気持ちよい季節、今日も癒しの隠れ家カフェケイズの朝が始まる

「おはようございます、Miyuさん、今日のモーニングコーヒーは、Miyuさんのお好きなモカですわ」

「いい香りね、うん、爽やかだわ」

「そうそう、Miyuさん、昨日ね、Nanaから便りが来ていたんですの、今ね、大学の研修員に選出されてボストンにいるみたいですよ」

「へぇ、そうなんだ、何とかやってるのね、手紙なんて書く様な子だったっけ?」

「Miyuさん、見たら驚きますわよ」

「ん?写真?どれどれ」

Miyuさんの目が大きく開かれてまん丸くなっている、次第に目尻が下がり、にこやかになる

「ふ~ん、何をどうしたって、運命ってのはこういう事なんだろうね」

「ふふ、そういう事ですわね」

いつか、を待つ二人に、そして、カフェケイズに、間もなく息が白くなる季節がやって来ます

※ストーリー<七星の鏡編:Mirror of the Seven Stars to reflect memory >は今回が最終回です、最後までご覧いただき、ありがとうございました

Nanaがアメリカから帰って、また、ストーリーが始まるまで、Bye for now

Kei

カフェの日常は続いて行きますわよ
皆さんのお役に立つ情報を発信して参ります

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