美味しいコーヒー飲みにおいでよね
「展示会はどうでしたの?」
「綺麗なグラスや食器が沢山あって、回りきれませんでしたよ」
「そう、そんなに沢山の出店があったのね」
「お疲れ様です、Nanaの荷物を持って来たんですが」
「あらあら、Shintaroさん、お疲れ様ですね、荷物はそれだけ?二階の納戸の奥を空けておきましたよ」
「ありがとうございます、Shintaroさん、お願いします」
Shintaroさんが段ボールの箱を二階の納戸へ運んで行く
「明日、アパートは引き払うのね」
「はい、なので、カフェの方は午後からでも良いですか?」
「ええ、勿論よ、お休みにして良かったのに」
「スーツケースとか持っていく荷物もShintaroさんのマンションへ運んでもらったので、アパートには何にもないし、この荷物を片付けたら、特にやる事もないんですよ」
「そう、何もないお部屋っていうのも淋しいわね」
「今晩と、明日は、Shintaroさんの所に泊めてもらって、出発の日は、朝、空港まで送ってくれるので」
「それなら安心だわ、朝、早いんでしょう?気を付けてね」
「はい」
「後、私に出来る事は何かあるかしら?」
「あ、そうそう、オーナーにお願いがあるんです、あの」
ドアベルが鳴り、Miyuさんがご来店
「あら、来てたの?展示会良かった?」
「はい、素敵なグラスとか食器がいっぱいでした」
フルーティーな香りが辺りに広がって来る
「さ、Miyuさん、どうぞ」
「あら、コナじゃないの?美味しいわね」
「ふふ、良いのが入ったんですよ」
カフェの壁時計が鳴っている、慌てて、Nanaが外のライトを消しに行く
「ちゃんと仕事が身についているのね」
「ふふ、そうね、全部、Nanaがやってくれていた事ですからね」
ドアベルが鳴り、看板を持って入ってきたNana
「もう、オーナー、ライト消すのと看板、忘れないで下さいよ?心配だなぁ」
「まぁ、なんとかなるって、私も毎日、帰りに寄る様にするからさ、心配しなさんな」
「そうしてもらえると、ちょっと安心です、オーナーをよろしくお願いします」
「あらあら、Nanaにお願いされちゃったわよ?オーナー」
「段ボールは運んだよ」
「うん、ありがとう、Shintaroさん、助かった」
「Nanaの荷物?もう片付いたの?」
「はい、ちょっとオーナーにお願いして、預かって貰う事にしたんです」
「そうなんだ、段ボール2つだけなの?」
「はい、後は、処分しました」
「そう、すっきりしたわね、身軽が一番よ」
「はい、そう思って」
「でも、やっぱり、わけの分からない小物が結構捨てられないって悩んでいたよな?」
「ふふ、そりゃそうですよ、Nanaには思い入れがあるものでしょうし、訳が分からないものを集めるのが好きなんですのよ」
「訳がわからないってのがちょっと引っかかるけど、まぁ、フォローありがとうございます」
「いよいよね、何だか、あっという間にに来ちゃったわね」
「そうですわね、四人で遠い記憶を見に行ったのが、つい最近の事の様な気がしますわ」
「ねぇ、Shintaro君、淋しい時はここに美味しいコーヒー飲みにおいでよね」
「あはは、はい、そうします」
「そうですわ、Shintaroさん、毎日でもいらして下さいな」
「Shintaro君は人気もあるし、まぁ、みんな寄って来るだろうけどさ、ん~でもさ、やっぱりNanaの事をね、忘れないでいて欲しいのよね」
「Miyuさんたら、相変わらずストレートですわ、私も言いたくても、我慢していたんですよ」
「もう、二人とも、元(前世)母、元(前世)叔母的過ぎますよぉ」
爆笑するShintaroさんを見て、何となく、そんな心配はいらないのかなと、気持ちが楽になる二人なのでした
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