心が綺麗だから
ニュースが各地の大雨の報道をしている、カフェの今日も降ったり止んだりを繰り返す空
「オーナー、また、降って来ましたよ、かなり大粒の雨です」
「いつまで続くのかしらね、こんなお天気」
ドアベルが鳴り、常連のお客様、鉄鋼関係の会社にお勤めのスラリとした美人、Kimiさんが駆け込んで来た
「土砂降りになって来ましたよ」
「まぁ、Kimiさん、素敵なお洋服が、ささ、こちらのタオルお使い下さい」
「はい、ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ雨の中ご来店ありがとうございます」
「Kimiさん、いらっしゃいませ、かなり降って来ましたね」
「あら、Nanaちゃん、こんにちは」
しっとりと深い、それでいて透き通った香りが広がって行く
「素敵な香り、雨に濡れた事など忘れてしまいそう」
「そう言って頂けると嬉しいですわ、さぁ、どうぞ」
香りをす~っと吸い込み、ほぉ~っと息を吐いてひと口「やっぱり美味しいですね、オーナーの淹れてくれるコーヒーは特別です」
「私のコーヒーが特別なんじゃないですのよ、特別な方が飲むから特別なコーヒーの味わいがあるんです」そう言って優しく微笑む
「もう、オーナーにそんな事言われたら、そう思っちゃうじゃないですか」
「ふふ、Kimiさんの心がお綺麗だからですよ」
「私もそう思う、Kimiさんって本当に意地悪って言葉が無縁なんですよ、心が綺麗だからだと思います」
「そんな、Nanaちゃんまで」
「だって、本当ですよ、私なんかいつも意地悪な事しか言えなくて、自分が嫌になるんです」
「ふふ、意地悪なんじゃなくて、相手を思い過ぎて、でも不器用だから上手く伝えられなくて、それが意地悪な感じに思えてしまうんじゃないかしら?」
「そうですわね、確かにNanaはそういう所あるかもしれませんわ」
「ほら、ちゃんとわかってくれているでしょう?相手の人というかNanaちゃんの周りの人はわかってると思うわ」
「ん~まぁ、そうですかね」
「もし、一つ言うなら、普段はそんなでも、ここぞという時にはちゃんと相手を思っている事を伝えられるとね、いいわね」
「なるほど、説得力あるなぁ、Kimiさん」
「ふふ、そうですよ、Nana、たまには、ありがとうのハグをしたりね?」
Nanaが無言で下を向いていると、何のことかわからない表情のKimiさんがオーナーKeiを見る
オーナーKeiがウィンクをしてKimiさんに合図をすると、なるほど、っと頷いて
「そうねぇ、もし、今、大切な人がいて、上手く伝えられているのかわからなかったら、Nanaちゃん自身もモヤモヤしちゃうんじゃないかしらね」
「そうですね、伝えられていない事は確かだと思います、でも、何でも分かってくれてしまう人なんで、何て言うか、敢えて表現しにくいというか、どう伝えたらたいのか分からないんです」
「そう、素敵な人なのね、そういう人なら、なおさらストレートでいいんじゃないかな?きっと喜ぶと思うよ」
「うん、ストレートにですね、よしっ」
ちょっと声が明るくなって顔をあげるNanaに頷きながら微笑むKimiさん
「オーナー、やっぱりカフェケイズのお客様は、素敵な方ばかりで最高です」
「ホント、そうですわね」
「オーナーの美味しいコーヒーが、そうさせるのかもしれませんよ?」
「え~Kimiさん、それじゃぐるぐる回っちゃって、鶏が先か卵が先かみたいじゃないですかぁ~」
「あははは、そうなっちゃうかな」
相変わらず、よくわからないNanaの言葉もお客様との大切なひと時になるカフェケイズなのでした
コメント
コメント一覧 (2件)
最近エピソードの読者になりました。
なんだかカフェケイズのコーヒーが飲みたくなります。
nanaさんの恋の行方?が気になりますね。
み~ちゃんさん、いらっしゃいませ
ご来店ありがとうございます、ごゆっくり美味しいコーヒーをどうぞ
Nanaの恋の行方、そうなんですのよ、Jinさんと出掛けて、遅くなっても帰らないので心配しています
み~ちゃんさんの恋の行方はどうかしら?
良かったら呟いてみて下さいね
オーナーKei