61st Episode 『共に乗り越える【Through a lot together】』

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絶対、何か隠してる時?だよね

「うんうん、あぁ、そうなの、わかったわ、じゃ、週末にね、はい、気を付けてね」

「出張かしら?」

「日帰りでね、でも今、高速が渋滞してて何時になるかわからないって」

「大変ですね、帰りは夜中になってしまうかもしれませんね」

「明日ならって言われたけど、明日はさ、ちょっと予定入ってて私がいないのよ、だから今週末にでもって事で」

来られなかった事に少し、ホッとしている様にも見えるNanaの表情が、複雑なのであろう事態を予測させる

「あ~お腹すいてきちゃったわ」

「そうですね、何か軽い物を用意しましょうね、Nanaも食べるでしょ?」

「はい、お願いします」

少し、話し疲れたNanaと、少し、モヤモヤ感が残るMiyuさんと、少し、Shintaroさんが何ていうのか不安なKeiの静かな夜が戻って来て、壁時計が時刻を告げる

「じゃ、また、週末に来るわね」Miyuさんがお帰りになる

「ささっと片付けて、軽く掃除して終わりましょうね」

カフェを後にしたNanaは少しの、いえ、いっぱいの後悔を感じていた、先に断ってからの方が良かったと思っていた

「あれ?え、どうして?」Nanaの自宅の駐車場に見慣れた車、咄嗟にスピードを上げて通り過ぎる

「困ったな、どうしよう、取り敢えず、近所のコンビニに寄って何か買おうっと」

レジに並んでいると後ろから聞こえる声

「そのお菓子、好きだよな」

「うん、これね、つい買っちゃうんだよね、って、えぇ?」

「さっき通り過ぎたよね?」

「ん?う~ん、コンビニに寄るつもりで忘れたから」

「そう?声が裏返ってるよ?慌てて逃げて行った様に見えたんだけど、違う?」

「いいえ、違います」

「ってなんで敬語?そういう時って絶対、何か隠してる時?だよね」

「いいえ、隠してません」

「ぷっ、ほら、また、何かあった?Miyuさんから電話があった時いたんでしょ?」

「ごめんなさい、私…」

「ん?どうしてあやまるの?」

しばらく黙っているNanaをただ、見つめている

「車、二台だから取り敢えず、こっち乗って、少し話そう?」

「いいえ、いいです、ここで」、「いいから」

Nanaの手を引っ張って、ころころと転がるお菓子、しゃがんで拾おうとするNanaが背を向けるのをぼ~っと見つめている、Nanaの心の中がぐちゃぐちゃになっているのが見えるから

お菓子を拾って、蓋を開けて「うん、これは、なるほどね、中々美味いな」

「あっ、勝手に開けないでよ」

「ちょっとぐらいはいいだろう?全部は食べないよ」

「いいよ、全部食べても」

立ち上がって手を引くと力なく、深い悲しみが伝わって来て指が痺れるのを感じる

「大丈夫?少し、シート倒してゆっくりしたら?」

「ううん、大丈夫」

いつもの様に心地よいシートに甘くて爽やかな香り、そして少しトーンを抑えた優しい音楽

(はぁ…どうして、このタイミングでこの曲がかかってるかなぁ)

♪~But bihind the past will make you lost today~

I can feel the fire deep inside even from a distance we can fight, I can see behind your disguise~♪

「この曲ね、歌詞がさ、そのまま、ん~色々とね重なるんだよね、だから探したんだ」

「そうなんだ、私も」

「あはは、そうだったんだ、少し落ち着いた?もう遅いから帰ろうか、ん?うそ、泣いてるの?」

「は?そんなわけないでしょ」

「だよな、Nanaは泣いた事なんてないもんな、ウソ泣きはたまにするけど」

「感じ悪~い」

バックミラーを見ると、後ろから付いて来るのが見える、駐車場に車を停車して、部屋に入るのを見てから去って行く

いつもは嬉しかったけど、今日は凄くそんな彼が嫌だった…

cafe-kei's-squ
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