コーヒーで生き返った
朝の爽やかな空気が心地よい、最近のお天気は、雨が降ったり、曇ったり、晴れたりと日々忙しく変化している
「Konさん、今日はNanaはお仕事で夕方にならないと来ませんよ」
「そうかい、淋しいねぇ、明日にするか」
毎日のルーティーンの一部になっているのか、決まった時間に来店し、決まった時間にお帰りになる
「Romiさん、もうそろそろ落ち着いて来たので、大丈夫よ」
「そう?Nanaちゃんが戻るまで手伝ってもいいよ」
「でもお店の方はいいのかしら?」
Romiさんは3軒ほど隣の手芸用品店で働いている、元々はお母さんのToyoさんがオーダーメイドの洋品店をやっていて、今は叔母さんのFujiさんと一緒に洋裁、和裁の教室をしている、そして、Romiさんは手芸用品で販売する方の仕事をお手伝いに来ているのだ
「ランチも頂いちゃった事だし、いいわよ、暇だからどうせ、でも、Nanaちゃん、朝来て、中抜けしてまた戻るって結構大変じゃないの?」
「ええ、そうよね、誰かもう一人来てもらった方がいいかしらっと思っていたのよ」
「ランチ以外の時間も言ってくれれば、私、来てもいいよ」
「ありがとう、いつも助かってます、でも忙しい時もあるでしょう?」
「そうも忙しい事ないわよ、それに叔母さんもいるから」
「今すぐにではなくても、誰かアルバイトしてくれる人、探してみるわ」
「募集してみたらどう?」
「そうねぇ、Nanaとも相談してみるわね、さ、食事の後のコーヒーいれましょうね」
「うわぁ、これがカフェの辞められないところよね、美味しいコーヒー、頂きますよ」
「あのぉ、すみません、ちょっとお二人のお話し聞いちゃったんですけど、アルバイト探してますか」
その声に振り向くとすら~っとした女性が立っている、よく見ると、奥の席に一組の女性3人のお客様がいらっしゃっていた中のお一人だ
「あら、お仕事をお探しですの?」
「あ、私じゃないんですが、友達がバイト探してて」
「そうなんですか、お客様、時々いらっしゃっていただいてますよね、そのお友達もいらした事があるのかしら?」
「ええ、随分前に連れてきた事はあります、でも、ここ最近は来てないので」
「そうなんですの、今、ちょっと出てるんですが、一人アルバイトに来てくれてる子がいて、その子のお休みの日とか、どちらか入れ替わりでと思っているので、毎日じゃないけどいいのかしら?」
「そうですか、一度、本人に聞いてみますね」
夕陽が西の空を染める頃、午後のお茶の時間もそろそろ終わり、お客様の波も引いて静かになる
急いで帰って来た事を知らせる様に無造作にドアベルが鳴り、Nanaが戻ってきた
「あ~Romiさん、まだ、いて下さったんですか?ありがとうございました、お店の方は大丈夫ですか」
「全然、大丈夫よ、今、美味しいコーヒーを頂いたとこよ、Nanaちゃん帰って来たから戻るわ、テイクアウトしてくから、今日のデリバリーはいいわよ」
「ありがとうございます、さっ、Nanaもお疲れ様、コーヒー飲んでからでいいわよ」
「は~い、もう、飲みたくて、頭の中、コーヒーだらけになってました」
「Nanaちゃんは相変わらず面白くっていいわ、あははは」
甘く、深いコーヒーの香りにうっとりしながらひと口
「あ~美味しい、オーナーのコーヒーで生き返った~」
「あはは、オーナーが可愛がるのがわかるわ」
「そうでしょう?ふふ」
「あ、でも、ToyoさんとFujiさんの顔見たいし、私、これ飲んだら、持って行きますよ」
「そう?今日は生徒さんが3人来てるから、じゃ、5つでいいわ、私もう頂いちゃったし」
「了解でーす、じゃ、また後で」
美味しそうにコーヒーを飲む姿を見ながら、ふと思う、Nanaは誰かもう一人アルバイトを探すというと何というだろうか、あまり良い返事が返って来ない気がするのでした
コメント