やっぱりそういう事なの?
散り始めた桜の花びらを手のひらに乗せては舞い上げて、空に放つ
はらはらと舞い降りて髪に止まり、その姿を窓に映している
このところ、カフェの前を掃き掃除をしている朝の風景はこんな感じ
「あら、まだ、髪に花びらが残ってるわよ」
「Miyuさんも、朝の目覚ましコーヒーですかぁ」
「まっ、そんなとこよ」
珍しく朝からコーヒーを求めてカウンターにいる
「Katsuさん、おはようございます」
「おはよう、今日は新しい花を持ってきたよ、花壇に植えておくからね」
「わぁ、綺麗ですね、お水あげなきゃっ」
「終わったら、コーヒー飲んでいって下さいね」
「ありがとう、さあ、ひと仕事してくるか」
「ねぇ、Nanaだいぶ、馴染んでるわねぇ」
「最近は豆の焙煎や挽き方も少しずつ覚えて来て、面白くて仕方ないみたいですね」
「いい事よね、楽しいって」
「見ているこちらも楽しくなりますよ」
「そうだ、あれからどうなの?」
「いえ、時々、迎えに来てくれているみたいなんですけどね」
「へぇ~、じゃ、やっぱりそういう事なの?」
「最近は仕事じゃない日は車で来ていないみたいだから」
「そうだよね、Nanaの車、今日は駐車場に無いもんね」
「健康のために歩いて来たいって言ってましたけどね」
「ふぅん、そうなんだ、この前さ、はっきり聞こえたよね、ちゃん付いてなかった事ない?」
「ええ」
このカフェでNanaと呼ぶのはオーナーとMiyuさんだけのはず
ドアベルが鳴り、「水あげすぎだよ、あははは」
「あ~服にかかっちゃったし、冷たっ」
「さあ、お二人さん、淹れたてのコーヒーをどうぞ」
「オーナーのコーヒーから始まる朝は最高だね~」
「でしょう?ですよね~あ~美味しい」
「仲の良い事ですね」
「さてと、Nanaの顔も見たし、行くわ、この近くで一件寄ってから事務所の方へ行くから」
「Miyuさん、行ってらっしゃーい、また、午後、来ます?」
「今日は、会議で詰まってるから、ああ、デリバリー頼むわ、いい?」
「いいですよ!待ってますから電話して下さいね」
「おけ、んじゃね」
「Nanaちゃん、すっかりMiyuさんに懐いちゃってるねぇ」
「Miyuさんも可愛がってますからね」
「それじゃ、わしも店、戻らなんとな、ご馳走さん」
「道路、気をつけて渡ってねー」
にこにこ顔で手を振るKatsuさん
爽やかな朝、カフェケイズの一日はこんな風に始まって行くのです
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