94th Episode 『本当の狙い【The Real Target】』

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そんな気がしていたんだ

流れる景色が色とりどりの灯りが走っている様に見える、ふと気が付くと、とうに自宅を過ぎていた

「あれ?Shintaroさん?」

「なんだか、ちょっと飲みたい気分なんだけど、うちで飲まない?疲れた?」

「あ、ううん、いいけど、ってか、もう過ぎてるし?」

「あはは、そうだな、この前、Nanaが買い物したスーパーで買って行こうか」

「うん、ちょっと小腹もすいたから、おつまみも何か用意する?」

Shintaroさんの部屋に入ると何となくいい香りがする

「いつも綺麗にしてるよね?お掃除好き?」

「あぁ、掃除は週に二回、頼んでいるんだ、このマンションの管理会社がやってるサービスでね」

「そうなんだ、ホテルみたいだね」

「食事のデリバリーサービスや買い物、クリーニング等のサービスもね、色々あるよ」

「へ~すごい」

「結構買い込んだな、何を買ったの?」

「ん~簡単なもの、ちょっとキッチン借りるね」

カフェで働き始めてから、手際がよくなったと感じる、盛り付けもオーナーに教えて貰って、結構いい感じ

「モッツァレラチーズとアボカドを生ハムで巻いてオリーブオイルとレモン、黒コショウのソースをかけたの、後、オクラときゅうりを酢と塩昆布で和えたのだよ、あっ、そうだ、もう一品、すぐ作るよ、プチトマトをね、切ってコーンとスモークしたサラダチキンをこうやって割いて、マジックソルトで和えるの、Shintaroさん、コーン好きでしょう?」

「ええ?もうそんなに作ったの?」

「だって、全部オーナーに教えてもらった簡単レシピ、カフェで出してるのもあるよ、ランチとかにね」

「着替えている間にこんなに作れるなんて、すごいな、何か手伝おうと思っていたのに」

そういってビールを開けてぐ~っと飲んでいる

「あ~もう開けちゃってるし、珍しいね」笑うNana、バレッタで無造作に髪をたばねている

「ん?あ、ありがとう、適当に上げたから髪、落ちて来ちゃったかな」

こぼれた髪が頬に少しかかっていて、指で耳にかけると、思わず、その指でそっと頬をなでる

「Shintaroさん、もう酔っちゃったの?なんだか今日はおかしいよ?ちょっとやばい感じ?」

「はぁ、そうだな、やばいな」

「だめだよ、Shintaroさんまで、鏡の中に入っちゃうよ」

「そうだな」

「うん、私を助け出してくれるんでしょ?」

「なぁ、Nana、帰りの車の中で考えていた事」

「あぁ、うん」

「Nanaだけに見えた事があったんだろう?」

「ん~」

「俺の推測だけど、元々の狙いは俺だったんじゃないか?」

黙って下を向いている目がうろうろしている

「そうか、やっぱりな、そんな気がしていたんだ」小さな溜息がひとつ

「ちゃんと全部、話してくれないか?」

少し考えて、真っ直ぐにShintaroさんを見つめる

「わかった、話すよ、でも、取り敢えず、食べよう?てか、私も飲んでいい?」

冷蔵庫から冷えたビールを出して渡すとぐぐ~っと飲んで「はぁ~美味しい」

「ふっ、良い飲みっぷりだな」

「ね、食べてみて、どうかな?美味しいかな?」

「ん~~美味い!」

「そう?良かった~」

「よ~し、今日は朝まで飲むぞ~」

「ええ~~?明日カフェあるもん」

「そっか、じゃあ、ほどほどにしないとな、朝、送って行くよ」

「いいよ、タクシーで帰るよ、Shintaroさんは明日お休みだからゆっくり寝ていいよ」

「え?帰るの?」

「だめ?」

「だめ」

「え~」

「あはは、だめ、絶対ダメ」

(Shintaroさんも一人でいたくない夜もあるんだな)

「美味しい~~さすが、オーナー直伝のレシピだな」

「でしょう?いっぱい食べて」

ゆっくりと流れる時間の中で、自然にいっぱい笑って、話して、心が休まるひと時をを過ごす二人なのでした

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