そんな気がしていたんだ
流れる景色が色とりどりの灯りが走っている様に見える、ふと気が付くと、とうに自宅を過ぎていた
「あれ?Shintaroさん?」
「なんだか、ちょっと飲みたい気分なんだけど、うちで飲まない?疲れた?」
「あ、ううん、いいけど、ってか、もう過ぎてるし?」
「あはは、そうだな、この前、Nanaが買い物したスーパーで買って行こうか」
「うん、ちょっと小腹もすいたから、おつまみも何か用意する?」
Shintaroさんの部屋に入ると何となくいい香りがする
「いつも綺麗にしてるよね?お掃除好き?」
「あぁ、掃除は週に二回、頼んでいるんだ、このマンションの管理会社がやってるサービスでね」
「そうなんだ、ホテルみたいだね」
「食事のデリバリーサービスや買い物、クリーニング等のサービスもね、色々あるよ」
「へ~すごい」
「結構買い込んだな、何を買ったの?」
「ん~簡単なもの、ちょっとキッチン借りるね」
カフェで働き始めてから、手際がよくなったと感じる、盛り付けもオーナーに教えて貰って、結構いい感じ
「モッツァレラチーズとアボカドを生ハムで巻いてオリーブオイルとレモン、黒コショウのソースをかけたの、後、オクラときゅうりを酢と塩昆布で和えたのだよ、あっ、そうだ、もう一品、すぐ作るよ、プチトマトをね、切ってコーンとスモークしたサラダチキンをこうやって割いて、マジックソルトで和えるの、Shintaroさん、コーン好きでしょう?」
「ええ?もうそんなに作ったの?」
「だって、全部オーナーに教えてもらった簡単レシピ、カフェで出してるのもあるよ、ランチとかにね」
「着替えている間にこんなに作れるなんて、すごいな、何か手伝おうと思っていたのに」
そういってビールを開けてぐ~っと飲んでいる
「あ~もう開けちゃってるし、珍しいね」笑うNana、バレッタで無造作に髪をたばねている
「ん?あ、ありがとう、適当に上げたから髪、落ちて来ちゃったかな」
こぼれた髪が頬に少しかかっていて、指で耳にかけると、思わず、その指でそっと頬をなでる
「Shintaroさん、もう酔っちゃったの?なんだか今日はおかしいよ?ちょっとやばい感じ?」
「はぁ、そうだな、やばいな」
「だめだよ、Shintaroさんまで、鏡の中に入っちゃうよ」
「そうだな」
「うん、私を助け出してくれるんでしょ?」
「なぁ、Nana、帰りの車の中で考えていた事」
「あぁ、うん」
「Nanaだけに見えた事があったんだろう?」
「ん~」
「俺の推測だけど、元々の狙いは俺だったんじゃないか?」
黙って下を向いている目がうろうろしている
「そうか、やっぱりな、そんな気がしていたんだ」小さな溜息がひとつ
「ちゃんと全部、話してくれないか?」
少し考えて、真っ直ぐにShintaroさんを見つめる
「わかった、話すよ、でも、取り敢えず、食べよう?てか、私も飲んでいい?」
冷蔵庫から冷えたビールを出して渡すとぐぐ~っと飲んで「はぁ~美味しい」
「ふっ、良い飲みっぷりだな」
「ね、食べてみて、どうかな?美味しいかな?」
「ん~~美味い!」
「そう?良かった~」
「よ~し、今日は朝まで飲むぞ~」
「ええ~~?明日カフェあるもん」
「そっか、じゃあ、ほどほどにしないとな、朝、送って行くよ」
「いいよ、タクシーで帰るよ、Shintaroさんは明日お休みだからゆっくり寝ていいよ」
「え?帰るの?」
「だめ?」
「だめ」
「え~」
「あはは、だめ、絶対ダメ」
(Shintaroさんも一人でいたくない夜もあるんだな)
「美味しい~~さすが、オーナー直伝のレシピだな」
「でしょう?いっぱい食べて」
ゆっくりと流れる時間の中で、自然にいっぱい笑って、話して、心が休まるひと時をを過ごす二人なのでした
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