76th Episode 『お節介【It’s not your business】』

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オーナーの笑顔こそ無敵

「オーナー、カミナリがピカピカ光ってます」

「さっきから雲行きが怪しいとは思っていたけど、やっぱり降ってくるのかしらね」

「不安定なお天気が続いてますね」

「昨日はお天気が良くて良かったわね、楽しかった?」

「はい、海辺のカフェでランチしてゆっくり公園を散歩したり、のんびり出来ました、ありがとうございます」

「そう、良かったわ、楽しかったなら、海辺のカフェはどんな感じ?」

「素敵なテラスもあって、お料理も美味しかったです、今度、一緒に行きましょうよ」

「そうね、そうしたいところだけど、遠出となるとねぇ」

「グラスとか食器類も綺麗だったんです、オーナー、興味あると思いますよ」

「いいわね、うちの食器もそろそろ新しいのに変えようかしら」

「わぁ、私も一緒に見たいです、最近、綺麗なグラスとか好きになって来て、オーナーの影響ですよ」

「ふふ、いいわよ、一緒に選びましょうね」

そう言ってニッコリと優しく微笑む、なんて素敵な笑顔なんだろうっていつも思う、オーナーの笑顔こそ無敵だ

「どうしたの?じーっと見て、私の顔に何かついてる?」

「いえ、いつも思わず抱き付きたくなっちゃうんです、あんまり優しくて素敵な笑顔だから」

「まぁ、どうしちゃったの?ふふ、でも嬉しいわ、そんな事いってくれるのあなただけよ」

「皆、言わないだけで、思ってますって」

「そうかしら?」

「私の周りは、笑顔の素敵な人がいっぱいいて、み~んなハグしたくなっちゃうんです」

「Shintaroさんの爽やかな笑顔も素敵ね、たまにはハグしてあげたらいいんじゃないかしら?ふふふ」

「もう~オーナーまで、Miyuさんみたいな、前世と現世ごちゃ混ぜ発言ですよぉ」

ドアベルが鳴り、今や、常連のお客様となったRenさんがご来店、カフェ近くの企業の担当になって以来、頻繁にいらっしゃる様になった

「空が暗くなってきました、お天気崩れそうですよ」

「そうですわね、でも、外は蒸し暑いでしょう?」

「ざっと、ひと雨来たら涼しくなるかな、あ~いい香りがする」

「さあ、どうぞ」

嬉しそうにオーナーを見てひと口

「美味しいな、ちょっと苦みのあるこの感じが好きなんですよ」

「Renさんのお好みですわね、男性はそういう方が多いんですのよ」

「そうかもしれないですね、コーヒーは甘い感じよりコクと苦みって思いますからね」

「ふふ、コーヒー通になってらして、皆さん、好みはそれぞれですけどね、Shintaroさんはバランスの取れたまろやかな感じがお好きですしね」

「うんうん、彼らしいな、ねぇ、Nanaちゃん?」

「え?ああ、はい、そうですね」

なんで私にふって来る?みたいな直撃だけど、やっと、私の存在に気が付いたのかと思うほど、カフェに入ってから全く眼中に無い、誰が見てもオーナーにまっしぐらな常連さんだ、まっ、こちらとしてはホッとしてるんだけど

「Shintaroさんも来たんですか?」

「いいえ、今日はいらしてないですわよ?」

「このお菓子、さっき事務所でもらって食べたよ?Shintaroさんのお土産?じゃないの?」

「え?あっ」慌ててカウンターの上に置いてあった昨日のお土産をカウンター内にしまう

「そうかぁ、Nanaちゃんとのデートだったんだね、あはは、そっかそっか」

(しまったな…)このお土産はShintaroさんが買う時に二つ買って一つをカフェの皆でってくれたのだった、ちょっとそこまで気が回らなかった

Keiの方を見ると、いつものNanaがやる様に、手のひらを上に向けて、ちょっと肩をすくめて首を傾げる

「いえ、あの、Renさん、これは」

「いいじゃないの、隠さなくても、ねぇ?オーナー、デートなんて羨ましいなぁ」

「Renさんだって、モテモテじゃありませんの?」

「いやいや、最近は全然ですよ、Shintaroさんは社内でも、どこの客先でも人気ありますけどね、私はさっぱりですよ」

「ご自分でお気づきになってらっしゃらないだけですわよ」

「そうですか?オーナにそう言ってもらえるだけで十分、嬉しいですよ」

鼻の下が伸びてデレデレしているRenさんにイラっとするけど、ここはちょっと抑えて一緒に笑ってやり過ごす

「あっ、でもNanaちゃん心配でしょう?なんなら俺、みんなに言っておいてあげるよ、Shintaroさんには彼女がいるからって」

「え?」

「Renさん、大丈夫ですわよ、Shintaroさんの方がNanaに夢中なんですから、ご心配無くね」

(うわっ、その返し、ちょっと違うんだけど)フォローを入れたつもりで満足そうなオーナーKeiに目で訴える

「ああ~そっかぁ、ごめんね、余計な事言ったかな」ニヤニヤしながらRenさん

「あ、いえ、あの、会社に戻ってShintaroさんを冷やかしたりしないで下さいね」そう言うのが精一杯だった

一頻り、オーナーを独り占めして満足し、足取り軽く帰って行った

「もう~なんであんなこと言ったんですかぁ?Renさん、絶対会社に帰ったらShintaroさんに色々言いますよ?」

オーナーKeiの方を見るとまた、同じジェスチャー、手を広げて肩をすくめる

だめだ、こりゃと思うNanaなのでした

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