なんだろう、この雰囲気
通りの風船、子供たちの歓声、大通りに入ってすぐのショッピングセンターが賑やかな午後、
「イベントか何かやってるのかな」カフェの忙しさの理由が気になる
Nanaも少し慣れて来て、馴染みのお客様からも声をかけられ楽しそうに会話をする姿が見られる
カフェの前にスポーツタイプの自転車が停まり、ドアベルの音と共に一人の少年が入って来た
ホールの席はいっぱいで見渡しながら少し、戸惑う様子
「良かったらコーナーのお席へどうぞ」
エントランスすぐの右手に窓際の一段上がったスペースが小さなコーナーカウンターにになっていて、二人ほどが座れる席がある
軽く頷き、「コーラ下さい」席に座ると何やら分厚い難しそうな本を広げてレポートでも書いているのか
「コーラ、少し、注文しておいた方がいいかしら」
このカフェでコーラの注文はほとんどない
「あ、Nana、ちょっと待って」そう声をかけたとき、二人が同時にこちらを見る
え?なんだろう、この雰囲気「奥の冷蔵庫も見て来てもらえるかしら」
Nanaが大きな声で「7本ありまーす」するとまた、先ほどの少年が反応する
「もしかしてあなたも?」「ねぇ、名前」
「えぇ、まぁ、僕はNanamiです、いつも母がNanaって呼んでいるのでつい、反応してしまって」
なるほど、そういう事か
Nanaがニヤニヤしながら顔を覗き込み、からかうように話しかける
「イケメン君と同じとはねぇ~大学生?なに、物理学専攻なんだ、で?コーヒーは飲めないの?」
「小さな頃、間違えて飲んでしまい苦くて、それ以来飲んでないです」
「へぇー大人の味をまだ、知らないかぁ」
少し、横を向いて知らん顔している少年が可愛らしくて思わずまた、呼んでしまう
「Nana、そのくらいにね」
ちょっと肩をすくめて外国人の様なジェスチャーでNanaは席を離れて行った
「ねね、良かったらこれ、飲んでみて」
「うわぁ、綺麗な模様ですね、どうやって描いたんですか」
少年の顔に笑顔がちらり、少し、甘めに入れたカプチーノを見つめて中々口をつけられないでいる
しばらくして重そうな数冊の本を抱え帰っていった
綺麗に飲み干してあった彼のカップをみてNanaと顔を見合わせた
「良い経験になったかしら」「彼、また来てくれるかしらね」
まだ、彼の綺麗なブルーのオーラが残る扉付近に目をやりながら、近いうちに彼と会える日がきっとあると思うKeiとNanaでした
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