結構、お茶目なのね
薄曇りの空は星も見えない、少し肌寒く季節が逆戻りしている
「なんか寒くないですか?」
「もうちょっと厚手の上着を着てくればよかったわね」
「さあ、そろそろ外のライト消して看板も入れましょうね」
「はーい、あっ、Miyuさんの車が入って来ましたよ、早いですね」
「そうね、夜も来るって言ってたわね」
ドアベルが鳴り、Miyuさんが入って来た
「ちょっと事務所で残り仕事片付けて来たわよ、コーヒーちょうだい」
「あらあら、お休みの日までお疲れさまでしたね、今、淹れますからね」
「疲れが取れる様な濃いのがいいわ」
「そうですね、コクが深いカカオの風味が感じられるコーヒーにしましょうか、疲れも癒されますよ」
「聞いただけで美味しそうですよね、Miyuさん」
「気が合うじゃないの、ところで、Shintaro君はまだ?」
「ん~、もうそろそろだと思いますよ、って言っていたら車、来たみたいです」
「お客様のお土産で頂いたお菓子あったでしょう?みんなで頂きましょうか」
「わーい、やった~あれれ、これって和菓子なのか、洋菓子なのかどっちだろ?」
「最近、こういうお菓子多いわよね、外側はカステラの様なパンケーキの様な、中身はホイップと粒あん」
「お~いし~い!」
「あら、もう食べてるの?お掃除して手洗った?」
「ん?あ~~忘れてた~」
「もう、Nanaったら慌てなくてもちゃんと数ありますよ」
静かにドアベルが鳴り、Shintaroさん、ちょっとお疲れの様子
「Shintaro君、今日もお仕事だったの?お疲れ様ねぇ」
「Miyuさん、こんばんは、Miyuさんこそ、お仕事してたんじゃないですか?」
「もしかして、Shintaroさん、お食事まだでしたの?何かすぐ用意しましょうね」
「あ、いえ、大丈夫です、ちょっと寄って来たので済ませて来ました」
深く、甘く香ばしい香りが立ち込める
「あ~疲れた体に、この香りは効くわね~」そう言って、溜息をひとつ、そしてひと口
「んんん~沁みるわね~美味しいわぁ」
「Miyuさんはフルーティーで酸味系なのが好みだけど、たまにはこういうのも良いでしょう?」
「おや、私の好みをいつの間に習得したのよ?益々、オーナー2号じゃないのよ」
「あっははは、オーナー2号!でも、オーナーのエレガントさは全然無いですけどね」
「むぅ~何よぉ、Shintaroさん、ちょっと言い過ぎじゃない?」
「あっははは、ごめん、ごめん、つい」
「ふんっ、つい何よ、本音が出たって言いたいんでしょう、どうせ、私はエレガントじゃありませんよぉ~だ」
「まぁまぁ、仲良くコーヒー飲んで下さいな」
「それはそうと、今日はね、Shintaro君、ちょっと聞きたい事があって寄ったのよ」
「え?私にですか?」
「うんうん、Haruさんがね、売り場の社員の事で心配していてね、Ren君の事なんだけど、何人もの女の子と噂があって、どうも社員同士で揉めてるみたいなんだよね、なんか聞いたこと無い?」
「えぇ?そうなんですか?いやぁ、でも、Renさんはお付き合いしている彼女がいるって言ってましたけど、違うのかな」
「え、そうなんだ」
「ええ、最近はどうかわかりませんが、そんなに前に聞いた話しでは無いですよ、3か月前くらいかな」
Nanaの顔が曇っている事に気が付いて、Shintaroさんが、Nanaの髪をひっぱる
「いてっ、なぁにぃ?」
「夜遅くにそんな甘いの食べて大丈夫?太るよ?」
「デブデブになりたいから食べてるんですっ!」
「あらまぁ、ご機嫌斜めです事ね」
「なんかさ、Shintaro君の意外な一面見た気がするわ、お仕事出来るエリートビジネスマンってイメージだけじゃないんだね、結構、お茶目なのね」
「いやだなぁ、Miyuさん、エリートなんかじゃないですよ」
ほのぼのとした風景、きっと、この二人はアメリカにいた頃、こんな風に自由に、楽しく過ごしていたんだろうなぁと思うのでした
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