見覚えのあるその車
「プランターの位置も元の通りにしておいたよ」
汗を拭きながら椅子に掛けてちょっと休憩のKatsuさん
「ありがとうございます、本当に助かりました」
山の様に積まれた食器とグラスを片付けていたNanaが気をきかせて冷たいおしぼりを渡す
「ああ、ありがとう、Nanaちゃんも忙しかったね」
「やっぱり、少し時間ずらしてもらって良かったですよねぇ」
「コーヒー淹れましたから休んで下さいね」
「Katsuさん、オーナーのコーヒーは疲れ取れますよ」
「Kiko先生もどうぞ、お掛けになってコーヒー飲んで下さいね」
「今日はとっても楽しかったです、お料理も美味しくて、生徒さんも皆さん大喜びで、ありがとうございました」
「喜んで頂けて良かったです、一時は一般のお客様も混んで来てどうなる事かと思いました」
「ですよねぇ、びっくりしましたよね、オーダーを間違えていないかドキドキしてました」
「みんな手伝いに来てくれて良かったですね、オーナー」
「そうね、皆さんのお陰ね、感謝しないとね」
「コーヒー美味しかったです、そろそろ帰ります、是非、また、よろしくお願いします」
「Kiko先生のお荷物はこれで全部ですか?車まで運びますね」
「じゃ、Nana、お願いね」
「わしもそろそろ帰るとするよ」
Kiko先生のミニチュアクレイクラフト教室の展示会があり、カフェケイズで行われた打ち上げ会も大盛況だった
3軒隣の手芸店のRomiさんやToyoさん、Romiさんの叔母さんもお料理やホールのお手伝いに来て下さったので何とか回ったという感じだった
お花屋さんのKatsuさんと奥様はお花やプランターを飾って、座席やテーブルのレイアウトなど力仕事はすぐ裏にある加工業の会社を経営しているTakaさん、Souさん兄弟が、お持ち帰りのデザートの提供はMiyuさん、クロスやテーブルウエアなどはHaruさんからのレンタルと、このカフェケイズは心強い協力者に支えられている
それもオーナーの人柄、誰からも愛されるオーナーとカフェケイズ
「さ、早めに切り上げましょう、外のライト落としてね」
「お腹空いていないかしら?コーヒーはもういい?」
「いえ、コーヒーもらって帰ってもいいですか?」
「いいわよ、お料理の残りも包んでおいたから一緒に持ってお帰りなさいな」
「はい、ありがとうございます」
「今日は疲れたでしょう?送ろうか?」
「大丈夫ですよ、近くですから、お疲れ様です」
エントランスの扉の向こうに車のライトが映る、誰か来たのだろうか、扉を開けて出てみるとNanaの姿は無い
見覚えのあるその車はNanaの家の方向へウインカーを光らせて曲がって行ったのでした
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