121st Episode 『時は流れて【The time goes by 】』

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美味しいコーヒー飲みにおいでよね

「展示会はどうでしたの?」

「綺麗なグラスや食器が沢山あって、回りきれませんでしたよ」

「そう、そんなに沢山の出店があったのね」

「お疲れ様です、Nanaの荷物を持って来たんですが」

「あらあら、Shintaroさん、お疲れ様ですね、荷物はそれだけ?二階の納戸の奥を空けておきましたよ」

「ありがとうございます、Shintaroさん、お願いします」

Shintaroさんが段ボールの箱を二階の納戸へ運んで行く

「明日、アパートは引き払うのね」

「はい、なので、カフェの方は午後からでも良いですか?」

「ええ、勿論よ、お休みにして良かったのに」

「スーツケースとか持っていく荷物もShintaroさんのマンションへ運んでもらったので、アパートには何にもないし、この荷物を片付けたら、特にやる事もないんですよ」

「そう、何もないお部屋っていうのも淋しいわね」

「今晩と、明日は、Shintaroさんの所に泊めてもらって、出発の日は、朝、空港まで送ってくれるので」

「それなら安心だわ、朝、早いんでしょう?気を付けてね」

「はい」

「後、私に出来る事は何かあるかしら?」

「あ、そうそう、オーナーにお願いがあるんです、あの」

ドアベルが鳴り、Miyuさんがご来店

「あら、来てたの?展示会良かった?」

「はい、素敵なグラスとか食器がいっぱいでした」

フルーティーな香りが辺りに広がって来る

「さ、Miyuさん、どうぞ」

「あら、コナじゃないの?美味しいわね」

「ふふ、良いのが入ったんですよ」

カフェの壁時計が鳴っている、慌てて、Nanaが外のライトを消しに行く

「ちゃんと仕事が身についているのね」

「ふふ、そうね、全部、Nanaがやってくれていた事ですからね」

ドアベルが鳴り、看板を持って入ってきたNana

「もう、オーナー、ライト消すのと看板、忘れないで下さいよ?心配だなぁ」

「まぁ、なんとかなるって、私も毎日、帰りに寄る様にするからさ、心配しなさんな」

「そうしてもらえると、ちょっと安心です、オーナーをよろしくお願いします」

「あらあら、Nanaにお願いされちゃったわよ?オーナー」

「段ボールは運んだよ」

「うん、ありがとう、Shintaroさん、助かった」

「Nanaの荷物?もう片付いたの?」

「はい、ちょっとオーナーにお願いして、預かって貰う事にしたんです」

「そうなんだ、段ボール2つだけなの?」

「はい、後は、処分しました」

「そう、すっきりしたわね、身軽が一番よ」

「はい、そう思って」

「でも、やっぱり、わけの分からない小物が結構捨てられないって悩んでいたよな?」

「ふふ、そりゃそうですよ、Nanaには思い入れがあるものでしょうし、訳が分からないものを集めるのが好きなんですのよ」

「訳がわからないってのがちょっと引っかかるけど、まぁ、フォローありがとうございます」

「いよいよね、何だか、あっという間にに来ちゃったわね」

「そうですわね、四人で遠い記憶を見に行ったのが、つい最近の事の様な気がしますわ」

「ねぇ、Shintaro君、淋しい時はここに美味しいコーヒー飲みにおいでよね」

「あはは、はい、そうします」

「そうですわ、Shintaroさん、毎日でもいらして下さいな」

「Shintaro君は人気もあるし、まぁ、みんな寄って来るだろうけどさ、ん~でもさ、やっぱりNanaの事をね、忘れないでいて欲しいのよね」

「Miyuさんたら、相変わらずストレートですわ、私も言いたくても、我慢していたんですよ」

「もう、二人とも、元(前世)母、元(前世)叔母的過ぎますよぉ」

爆笑するShintaroさんを見て、何となく、そんな心配はいらないのかなと、気持ちが楽になる二人なのでした

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