誰にも止める事は出来ないさ
陽の光がキラキラと窓を照らす朝、カフェには涼しい風が吹いて過ごしやすい季節
「朝晩はぐっと涼しくなりましたよね」
「そうね、モーニングコーヒーも美味しく頂けるわね」
エントランスの花壇を管理してくれているKatsuさんが声を掛ける
「おはよう、時季の花を少し入れておいたよ、Nanaちゃん、後、残りの水あげを頼むよ」
「は~い」
「いつもありがとうございます、ささ、ひと休みして行って下さいな」
甘くコク深い香りが朝のカフェに広がっている
「ありがとう、あぁ、良い香りがするね、一杯頂くとするか」
「Nanaちゃんが、また、アメリカに行っちゃったら花壇の花も淋しがるなぁ、ねぇ、オーナー」
「え?アメリカ?Nana?」
「うん、今、聞いたんだよ、オーナー聞いてないの?」
「お水あげて来ました~お花が喜んでいましたよ、うふふ」
呆然とNanaを見つめるオーナーKei
「ん?どうしたんですか?オーナー?」
「ねぇ、どういう事なの?アメリカって」
「え?あっ、あぁ、今日お話ししようと思っていたんです」
「Nanaちゃん、オーナーに話していなかったのかい?悪い事したかな、さっき聞いた話しをしてしまったよ」
「いえいえ、Katsuさん、オーナーとMiyuさんが一緒に居る時に話そうと思っていたので、遅れちゃって」
「Miyuさんに来てもらいますわ」
すぐ、電話を入れるオーナーKei
Miyuさんの影響か、最近の行動力がアップしている
「Nanaちゃんが考えて決めた事だ、誰にも止める事は出来ないさ、なぁ、Nanaちゃん?」
「Shintaroさんは何て言ってるの?一緒に行くの?」
「まぁまぁ、落ち着いて、オーナー、ちゃんと話すって言ってるんだから」
「Shintaroさんにはまだ話していませんけど、今晩、話そうと思っています」
「私はそろそろ店に戻るから、ゆっくり話しをするといい、でも、オーナー、Shintaro君とNanaちゃんが決める事だよ」
「ええ、分かっていますけど、でも、あまりに突然で」
「そうだね、Nanaちゃんもオーナーの気持ちはわかってあげなさい」
静かに頷いてKatsuさんを見送りながら、何をどう話をしたら良いのか迷っていた
「オーナー、ごめんなさい、一番最初にお話ししようと思っていたんです、でも、言い出せなくて」
「いいえ、いいのよ、切り出しにくいわよね、わかっているのよ、でもね、ちょっと」
そう言って黙り込んでしまったオーナーKei
Nanaは自分が考えている以上に、オーナーKeiやMiyuさんにとってはショックである事を知らされるのでした
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