次の嵐の前の凪という感じ
「それで、もう体調は良いの?」
「はい、めっちゃ元気です」
「そう、それなら良いわ」
Miyuさんが、カウンターでお仕事帰りのコーヒーを飲んでいる
「Miyuさん、今日はお早いですわね、珍しいこと」
「うん、ちょっと予定してたスケジュールが先方のミスで遅れちゃってるのよ」
「まぁ、そうなんですの?大変ですわね」
「Shintaro君が一番大変よ、調整全部まかせてるから、っふふ」
「まるでMiyuさんの秘書も兼ねている様ですわね」
ちらりと横目に見て、「それは、人使いが荒いって言われてる様に聞こえるけどねぇ」
「だってぇ、事実、そうじゃないですか?Shintaroさん、帰りが遅くなっちゃうじゃないですかぁ」
「はいはい、すみませんね、なんてうるさい子」
「ふふ、仲のよろしい事ですわね」微笑むオーナーKei
お客様がお帰りになり、カフェの静けさが戻ってくる
「Nana、デリバリーの用意出来ましたよ、裏のTakaさん所よ、お願いね」
「もうそんな時間、行って来ます」
「気を付けていってらっしゃい」
ドアベルが鳴り、バタバタと出て行く
最近、カフェのすぐ裏にあるTakaさん、Souさん兄弟の会社は忙しく、遅い時間にコーヒーのデリバリーが入る
「静かになったわね」
「そうですわね、さ、もう一杯どうぞ」
暖かいコーヒーのお替りをカウンターに置く、オーナーKeiもMiyuさんの横に座り、今日一日の終わりのコーヒーを飲む
「Shintaroさんとも上手く行ってるみたいだし、色々とあったけど、ひと安心ってとこか」
「そうですわね、嵐がひとつ去って、次の嵐の前の凪という感じですわ」
「嵐はまたくる?次の嵐は何?」
「何でしょうね、しばらくは静かでしょうけど、まだまだ、序盤でしょうね」
「序盤か、この前、あなたか言っていたけど、謎は7つあるって本当なの?」
「いえ、そんな気がするだけです」
「後、6つ残ってるのか」
「実際のところ、後、いくつ鍵が存在するのかが分からないですからね」
「Ren君も持ってるのかな」
「どうでしょうね、敵では無さそうだけど、今、もしそれを聞いても答えないと思いますわよ」
「Sakiさんの方も鍵じゃないけど、古文書だっけ?何かありそうよね?」
「ええ、それもありましたわね、Sakiさんの話しもJinさんの件であれっきりになって、お姉さんの記憶も戻っていない様ですし、Sakiさんも不思議な力を持っているみたいなので」
「うん、ShintaroさんにSakiさんの話しってしたっけ?」
「いいえ、詳しくはしてないですわよ、それどころでは無くなって」
「うん、人生ってわかんないわね、お姉さんより先に、Sakiさんの方がShintaroさんの事を知っていたんでしょう?」
「その話し聞いてないですけど?どういう事ですか?」
後ろを振り向くと、デリバリーから戻ったNanaが立っていたのでした
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