108th Episode 『嵐の後【 After the storm, but】』

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次の嵐の前の凪という感じ

「それで、もう体調は良いの?」

「はい、めっちゃ元気です」

「そう、それなら良いわ」

Miyuさんが、カウンターでお仕事帰りのコーヒーを飲んでいる

「Miyuさん、今日はお早いですわね、珍しいこと」

「うん、ちょっと予定してたスケジュールが先方のミスで遅れちゃってるのよ」

「まぁ、そうなんですの?大変ですわね」

「Shintaro君が一番大変よ、調整全部まかせてるから、っふふ」

「まるでMiyuさんの秘書も兼ねている様ですわね」

ちらりと横目に見て、「それは、人使いが荒いって言われてる様に聞こえるけどねぇ」

「だってぇ、事実、そうじゃないですか?Shintaroさん、帰りが遅くなっちゃうじゃないですかぁ」

「はいはい、すみませんね、なんてうるさい子」

「ふふ、仲のよろしい事ですわね」微笑むオーナーKei

お客様がお帰りになり、カフェの静けさが戻ってくる

「Nana、デリバリーの用意出来ましたよ、裏のTakaさん所よ、お願いね」

「もうそんな時間、行って来ます」

「気を付けていってらっしゃい」

ドアベルが鳴り、バタバタと出て行く

最近、カフェのすぐ裏にあるTakaさん、Souさん兄弟の会社は忙しく、遅い時間にコーヒーのデリバリーが入る

「静かになったわね」

「そうですわね、さ、もう一杯どうぞ」

暖かいコーヒーのお替りをカウンターに置く、オーナーKeiもMiyuさんの横に座り、今日一日の終わりのコーヒーを飲む

「Shintaroさんとも上手く行ってるみたいだし、色々とあったけど、ひと安心ってとこか」

「そうですわね、嵐がひとつ去って、次の嵐の前の凪という感じですわ」

「嵐はまたくる?次の嵐は何?」

「何でしょうね、しばらくは静かでしょうけど、まだまだ、序盤でしょうね」

「序盤か、この前、あなたか言っていたけど、謎は7つあるって本当なの?」

「いえ、そんな気がするだけです」

「後、6つ残ってるのか」

「実際のところ、後、いくつ鍵が存在するのかが分からないですからね」

「Ren君も持ってるのかな」

「どうでしょうね、敵では無さそうだけど、今、もしそれを聞いても答えないと思いますわよ」

「Sakiさんの方も鍵じゃないけど、古文書だっけ?何かありそうよね?」

「ええ、それもありましたわね、Sakiさんの話しもJinさんの件であれっきりになって、お姉さんの記憶も戻っていない様ですし、Sakiさんも不思議な力を持っているみたいなので」

「うん、ShintaroさんにSakiさんの話しってしたっけ?」

「いいえ、詳しくはしてないですわよ、それどころでは無くなって」

「うん、人生ってわかんないわね、お姉さんより先に、Sakiさんの方がShintaroさんの事を知っていたんでしょう?」

「その話し聞いてないですけど?どういう事ですか?」

後ろを振り向くと、デリバリーから戻ったNanaが立っていたのでした

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